2024年10月10日、袴田事件の再審無罪が確定しました。
袴田巌さんが無罪となったことで、真犯人が誰なのかが気になるところですよね。
もちろん、事件から58年の歳月が経ってしまったことを考えると、真犯人の特定は難しいかもしれません。
時効にもなってしまいました。
今回は今までの情報をもう一度チェックして、怪しい人物がいなかったのか、真犯人が誰だったのか考えていきたいと思います。
事件の概要
袴田巌さんは、1966年に清水市で発生した一家4人の殺害事件で逮捕されました。
彼は強盗殺人罪などで死刑が確定しましたが、再審によって無罪が言い渡されました。
- 1966年6月30日 静岡県清水市(現在の静岡市清水区)の味噌製造会社(こがね味噌)の専務宅が火事
- 焼け跡から専務、妻、次女、長男の一家4人の惨殺遺体が発見される
- 4人の遺体から合計40箇所以上の刺し傷、前日に集金された約50万のうち37万円が紛失
- 1966年8月18日強盗殺人と放火の容疑でこがね味噌の従業員で元プロボクサー・袴田巌(当時30歳)が逮捕
- 袴田巌に結びつく直接的な証拠は何もでてこなかった
- 取り調べから公判まで一貫して容疑を否認
- 1966年11月15日静岡地裁で第1審初公判
- 1967年8月31日味噌工場の味噌タンク内から従業員が血染めの「5点の衣類」を発見
- 1968年9月11日一審で死刑判決が言い渡され、控訴・上告が棄却
- 1980年12月12日に死刑が確定(事件から14年後)
- 1981年~2度にわたり再審請求
- 2014年3月27日第二次再審請求審で再審の開始と死刑及び勾留の執行停止を決定
- 袴田巌が即日釈放、同時に検察側が東京高裁に即時抗告
- 2023年10月袴田事件の再審開始
- 2024年9月26日 静岡地裁で無罪の判決 証拠とされた「5点の衣類」は捜査機関の捏造と断定
- 2024年10月10日 検察が控訴を断念。無罪確定。
証拠の見直し
事件当日に着用していたとされるパジャマ
犯行時に袴田氏が当初着用していたとされるパジャマです。
事件後の家宅捜索で発見されました。
黒く点線で囲まれた部分に血液が付着していたために犯行時に着ていたものとされました。
しかし、一家4人を刺した割に付着する血液の量も少なく犯行時着用していたど断定するには無理がありますよね。
捏造された「5点の衣類」
上の画像の5点の衣類は、袴田さんが逮捕された1年後に、味噌製造工場の味噌タンクのなかから、
とされていました。
しかし、今回の再審で、捏造と断定されました。
その根拠を下にまとめます。
- 衣類の味噌漬け実験で、1年間も味噌漬けされていた割に着色が薄かった
- ズボンを実際に袴田氏に穿かせたが、小さくて穿けなかった
- 返り血と思われる赤いシミが、上に履いていたであろうズボンよりもステテコに広範囲に付いている矛盾
- 返り血のDNA鑑定では、被害者のものでも袴田氏のものでもなかった
- 取り調べ時に負傷した傷の位置に合わせて、ズボンにも裂いた痕がある
- 5点の衣類発見後にズボンの端布が発見されたとあるが、生家の家宅捜索で捜索員よりも早く警部がいて指示されたところから発見されていた。
凶器とされたくり小刀
凶器とされたくり小刀の画像です。
刃渡り約13cmと小型の刃物であることがわかります。
事件にあった被害者の刺し傷は、
- 橋本藤雄さん・15箇所
- 妻 ちゑ子さん・6箇所
- 次女 扶示子さん・9箇所
- 長男 雅一郎さん・11箇所
4人合わせて41箇所。
発見された小刀は、40箇所以上刺してもなお、刃こぼれもありません。
また、刺し傷の中には、肋骨を貫通して切断された傷もあります。
相当な力がなくては刺せませんし、骨など硬いものを貫通させれば、少なからず刃こぼれや曲がりが発生するはずですよね
新たな証拠はあるのか
小刀が凶器でなければ、凶器は発見されていないことになります。
凶器を断定できる情報として、次女の傷口の幅から凶器の形状を予想した記述がありました。
二女の胸の傷口の幅は1.38cmと推定されています。
しかも、胸椎まで達する傷を負わすとなると、くり小刀を刃体の根元部分まで二女の体を相当凹むほど強く押し、突き刺さなければなりません。
しかし,くり小刀刃体の根元幅は2.7cmもあり、傷口の幅よりもはるかに広いのです。二女の傷に見合う凶器は、刃体の幅が1.38cm以下の細長いものであることが容易に想像できるのです。
このように、二女の傷についてだけでも、くり小刀を凶器とするには多くの無理があるのです。
引用:袴田事件弁護団
また、次女の傷で一番深いところで16.5cmあり、この2つの情報をまとめると、
と形状を絞り込むことができます。
刃の幅1.38cm以下の刃物となると、料理用包丁は除外されますね。
工業用など特殊な形状のものではないかと考えます。
もっと広く考えると、穿通能力のある、刃物以外の物も考えられます。
犯行動機は何だったのか?
袴田氏を犯人としていたときは、金銭の窃盗目的でした。
事件の翌日が給料日ということもあって、事件当夜は被害社宅に多額の現金や預金通帳が置いてあったそうです。
ですが、盗まれたのは8万円。
その他の金銭は手つかずです。
金銭目的で犯行に及んだとは思えません。
そうなると、犯行動機は怨恨がらみの様相が強まってきます。
ここまでの情報をまとめると、
- 凶器は、刃渡り16.5cm以上、刃の幅1.38cm以下の特殊な形状をしている
- 多額の金銭が残されていたことから、犯行動機は金銭目的以外の可能性もある
真犯人は誰?
今までの経過や証拠の情報から、真犯人が誰なのか考察してみました
長女の可能性は?
ひとつの主要な噂は、長女が真犯人なのではないか?というもの。
長女は事件当時19歳。
事件の当日は、自宅近くの祖父母の家に泊まっており、家族の中で唯一事件から免れています。
凄惨な事件で、家族の中で一人残された長女は、精神的にも不安定な状態となってしまいます。
彼女の証言は一貫性がなく、感情が欠如しているようにみえたため、一部の人から疑念を持たれました。
のちに、重度の「うつ病」であったことが報じられていますね。
特に、長女が袴田巌さんを犯人とする立場を取っていたことが、
という疑いをもたれる要因にもなりました。
なぜ、事件の夜自宅ではなく祖父母の家にとまっていたのか?というところも不審に思われました。
長女の当時の状況として、
- この当時、長女は両親が嫌う従業員と交際をしていて、勘当されていた
- 長女は次女を嫌っていた
と言われていました。
実は、亡くなった次女が一番被害が大きく何度も顔を刺されていることから、
と考えていた人もいたようです。
その後会社を引き継いで社長になっていることも、長女が疑わしいと言われる理由のひとつでした。
しかし、具体的な証拠は存在しません。
長女は、袴田氏の再審が確定し、釈放された翌日に自宅で亡くなられています。
亡くなられたタイミングが袴田氏の釈放と重なり
とも噂されましたが、発表されている事実はあくまでも病死です。
長女と交際していた男性?
もう一人、真犯人として被害者の長女が交際していた男性が、事件に関与している可能性があるという噂もあります。
この男性は、
- 被害者の会社の元経理で、店の金を横領していた
- この男性の父親は当時地元の有力者
- 事件後、県警にお金を渡して袴田氏を逮捕させた
いとう噂もあります。
そして、
と噂されていました。
具体的な証拠は全くありません。
真犯人は複数犯?
袴田巌さんの弁護団は、
と主張しています。
その理由として、
凶器とされた小刀では、被害者の遺体についているような傷はつけられない
と主張しています。
先に述べた凶器の考察を参考にすると、一般の家庭にはない特殊な形状の凶器の可能性も考えられます。
そうなると、長女や交際相手の男性など一般人には入手困難なのではないでしょうか。
また、被害者4人の刺し傷は合計で40箇所以上もありますし、ひとりで犯行に及ぶにはかなりの時間と労力を使いそうです。
単独で家族4人を狙うとしても、誰かを襲っている間に他の家族が起きてしまいそうですよね。
事件の日、近所の住民は
悲鳴や犯行時の物音を聞いていない
と証言しています。
隣に住む人のみ、唯一材木の倒れるような「ドシン ガラガラ」という音を聞いています。
この音が、犯行と関係あるのかは確認できていませんが、
これらを考えると、犯行は複数犯、短時間で行われた可能性があります。
まとめ
今回は、袴田氏の無罪が確定し、真犯人につながる情報があるのかを調査していきました
- 犯行の証拠となった「5点の衣類」は捏造と断定されている
- 凶器とされるクリ小刀で犯行に及ぶには、説明できない刺し傷が被害者に確認されている
- 被害者の刺し傷の状態から、本当の凶器は刃渡り16.5cm以上、刃幅1.38cm以下の特殊な形状の可能性がある
- 現場に多額の金銭が残っていたことから、金銭目的の犯行ではない可能性がある
- 真犯人として噂で名前が浮上していたのは、長女と長女の交際相手
- 弁護団は、「複数犯によるもの」の犯行と考えている
- 事件現場の状況を考えると、複数犯の可能性は充分にある
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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