アーティスト・加治ひとみが自分の人生を取り戻すまでのストーリー

アーティスト・加治ひとみが自分の人生を取り戻すまでのストーリー

2018.1.11

26歳のときに受けた東京ガールズオーディションで見事アーティスト部門グランプリを獲得し、デビューへのチケットを掴んだ加治ひとみさん。デビュー後、早くも自身の曲がドラマ主題歌になるなど、新しい歌姫としての頭角を現し始めています。今回の≠REPROFILEスペシャルインタビュー「OPEN the ×××」前編では、そんな彼女の歌との出会い、青春時代の葛藤、 それを乗り越えたきっかけなどを語っていただきました。

こんな内容

--歌を好きになったきっかけは何でしょうか?

中学生の頃、よく家出をしておばあちゃんの家にかくまってもらっていたんです(笑) おばあちゃんの家はスナックを経営していて。思春期という多感な時期にマイクとカラオケがすぐそばにあった、ということが一番大きいですね。

--なぜ家出を?

 (24026)

家が厳しかったんです。習い事もたくさんしていましたね。書道に英語、テニス、学習塾、水泳、バレエ、ピアノ。習い事がない日の門限は4時でした。中学生にもなれば好きな人もできるじゃないですか、それが家のルールを全部守っていたら全然会えなくて。それに、学校にも居場所がなかったんです。

--クラスでは浮いた存在だった?

 (24021)

見事に一人だけギャルでした(笑) 偏差値でクラス分けするような学校で、徐々に成績も下がっていってしまって。居心地が悪かったですね。それで、好きな人やおばあちゃんの家に家出を繰り返していました。

--両親はどんなリアクションを?

 (24027)

すぐに探しに来ていましたね。学校にも探しに来てしまったことがあって、どんどん居場所がなくなっていきましたね。そんなときに良く聞いていたのが浜崎あゆみさんの曲です。歌詞を見ると「この人もそうなんだ、一人じゃないんだ」と励まされました。孤独に寄り添ってくれているような感覚でしたね。

--当時、スナックで聞いた曲で印象深かった曲はありますか?

 (24022)

印象に残っているのは、寺尾聡さんやテレサ・テンさんの曲です。その頃聞いていた切ないコード進行のバラードは、今私が歌っているバラードの方向性に影響を及ぼしていると思います。

--16歳から書き続けているという日記。具体的にどのようなことが書かれているのでしょうか?

 (24029)

その時々に味わった寂しい気持ちをポエムにしていました。その日記の中から言葉を抜粋して、歌詞にしたりもしています。例えば“ルール違反”という曲。この曲は、19歳のときの日記を膨らませて書いた歌詞なんです。その頃って、自分には彼氏しかいなくて、自分自身の人生を忘れてしまっていた時期だったんですよね。そんな自分に自信がなくて、今後もちゃんと愛されていくかわからない不安もあって。そんな不安を埋めるために男友達と遊んだりしていた日々をデフォルメして書いたんです。

--20歳の頃、亡くなった恋人との思い出を元に書かれた“共犯者”。悲しい出来事を「歌詞」として作品に昇華できたのは何がきっかけだったのでしょうか?

デビューする前に事務所に呼び出されて『1ヶ月以内に“これが自分の全てだ”と思う歌詞を書いてみて』と言われたんです。当時、自慢できることが何も無かったけど、日記をずっと書いていること自体は自分の財産だと思っていました。それで、日記を開いたとき、亡くなった彼との歴史が一番濃くて長かったんです。3ヶ月に一回夢に出てきたりもしていて。いよいよ歌詞を書き始めなくちゃいけない時期に、彼がまた夢に出て来たんです。そのときに『これだ!』と確信しましたね。

--時間が経った今だから書ける言葉も?

 (24030)

負の感情をバネにしてやろうという気持ちは大きいです。それに、冷静に客観的な視点を歌詞に加えられているのは30歳になった今だからこそ、だと思っていますね。

--東京ガールズオーディションを受ける前と受けた後で、見えている景色や考え方は変化しましたか?

やっぱり自分に自信がつきました。今までは、与えられたものの中で向き不向きを判断していたんですよ。でも、恐くても自分で選んで戦って頂点を初めて取れた体験が、今でも自信に繋がっていますね。

--歌手活動をしていく上で加治さんのポリシーはありますか?

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以前の私のように『自分には何もない』って、自分に自身を持てない女性ってたくさんいるんじゃないかな、と思うんです。そんな中で、私は一般的に遅いとされている26歳という年齢でオーディションを受けて、なんとか合格することができました。そんな私の姿を見て、年齢を考えず、女性が夢に向かって前向きになってくれたらと思うんです。家出時代、浜崎あゆみさんが自分を支えてくれていたときにように、今度は自分が誰かを支えてあげたいと思いますね。あと、歌の中では弱い一面は見せるけど、ステージの上では強くありたいと思っています。さらけ出しながら、自分を強く持っていきたいです。だって自信がない人に、人はついていきたいと思わないじゃないですか。
 (24025)

インタビュー中、加治ひとみさんから幾度となく発された「自分に自信がなかった」という言葉。自分と向き合い、自尊心を持てるようになるまでのストーリーは、これからも彼女の歌を通して多くの人を勇気づけるのではないでしょうか。そんな加治ひとみさんの日常を覗き見ることのできる、≠REPROFILEスペシャルインタビュー「OPEN the ×××」後編もお楽しみに。
Photography:Yosuke Tanaka(Aflo)
Interviewer:いちじく舞
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この記事を書いた人:≠REPROFILE編集部

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