
まだ女優の卵だった西野凪沙が、自らの手で殻を破った理由
2019.1.31
凛とした涼しげな瞳が、笑顔になると途端に愛嬌を帯び始める……そんな多層的な魅力を持った新人女優、西野凪沙さん。若干19歳の凪沙さんが、何故女優を目指し始めたのか、撮影や稽古の現場で日々何を感じているのか、そんな彼女の成長過程を深掘りしていきます。また、REPROFILEスペシャルインタビュー恒例の西野凪沙さんの「マイルール」も合わせて紹介。これから、映像に舞台に活躍していく西野凪沙さんの軌跡をとくとご覧ください。
こんな内容
−クラシックバレエを13年間続けていたという凪沙さん。習い始めたきっかけは何だったのでしょう?
もともと姉が教室に通っていて『私もやってみたい』と母に伝えたのがきっかけです。母曰く、私が自分から何かをしてみたいって発言したのは、そのときが初めてだったらしくて
−お姉さんと同じ教室に通い始めるようになったんですね。
はい。レッスン以外にも、毎日柔軟と筋トレはしていましたね。特に柔軟は1日休むと3日前の体に戻るって言われているんです。それでも、バレエは辛さより楽しさの方が勝っていました。発表会やコンクールで舞台に上がることが大好きだったんです。舞台上で体全体を使って表現する楽しさが、今お芝居を続けている根源にあると思います
−芝居に目覚めたのは何故?
ある演技のレッスンで、短い台本を講師の演出家の方と読み合う時間があって。私は演技初心者だったし、他のレッスン生の子たちは厳しく指導を受けているしで、緊張しっぱなしだったんですが、いざ始めてみると『君、筋いいね!』って褒めてもらえたんです。それが自信に繋がって、徐々にお芝居のオーディションを受けるようになりました
−役者人生が本格始動したのはいつからですか?
映画『36.8℃サンジュウロクドハチブ』のオーディションに合格して役をいただけたことが始まりです。撮影当時は高校3年生でした。撮影は全部で6日間、朝から晩まで泊まり込みで行ったんです。出演している他の役者さんも体力的にしんどいはずなのに、みんな本当に楽しそうで。今思い返しても幸せな時間だったなぁって思います。そのとき『仕事がこんなに楽しいって素晴らしいことだな』ってしみじみ感じたんです。一生この仕事を続けていこうって腹をくくれたのは、あの現場があったからですね
−1月21日に1日限りで公演された舞台「女生徒 ~さよなら、モラトリアム~」の稽古はいかがでしたか?
心身を削りながら毎日稽古に励んでいました(笑)というのも、芝居のテーマがすごく重くて。お芝居には4人の女生徒と1人の先生が出てくるんですが、それぞれが置かれた環境の苦しさや、心に抱える葛藤が描かれているんです。稽古場で他の役者の方が演じているのを見ているだけで泣けてきてしまうし、家に帰ってもそのことばっかり考えてしまって
−凪沙さんはどんな役を演じたのでしょうか?
私は主人公の親友役を演じました。表ではムードメーカーで人気者なんだけど、家庭の事情が複雑で闇を抱えている、そんな二面性を持った役です。この役の子が育った環境と、私が育ってきた環境はかけ離れているので、役に入り込むまでに苦労しましたね
−どんなプロセスを踏んで役作りをしていったのですか?
演じている中で、だんだんと『私も等しく孤独なんだ』ということを気付けてきて。私が演じる役も、他の登場人物も、私個人も、生きている限りどこか孤独を感じている部分が必ずあると思ったんです。今は自分自身の孤独を、役の孤独に寄り添わせて演じていますね
−これからチャレンジしたい役は?
家族の物語で、今しかできない等身大の役を演じてみたいです。私自身、5人兄弟の7人家族なんです。兄弟が多い特殊な家族構成だから、その経験を役に反映させてみたいですね。それといつかは母親役もやってみたいなって
−19歳にして母親役をやってみたい、というのは少し珍しいですね。
自分の理想とする女性像が母親なんです。母は、兄弟全員に深い愛情をかけて育ててくれて。兄弟が多くても、今まで何かを諦めたり我慢したことはありませんでした。だから、いつかは自分の母のような温かい母親役にも挑戦してみたいんです
−そんな凪沙さんの「これだけは譲れない」というマイルールはありますか?
うーん……何だろう。あ!これは、マネージャーさんも知らないと思うんですけど実は私、幼稚園の頃から冬になると必ず『きりんさんチョッキ』をインナー代わりに着ているんです。腹巻きのような素材なのでインナーとして着るものじゃないと思うんですけど、これがないとどうも落ち着かなくて。今でもまだ綺麗なので自分でも物持ちいいなあって思います(笑)
−最後に、今後どんな女優になっていきたいかを教えてください。
皆さんの予想を、いい意味で裏切り続ける変化の絶えない女優さんになりたいですね。今までは『ちゃんと面白いお芝居できてるのかな』って不安になることも多かったんですが、稽古を重ねるうちに『オーディションという場できちんと選んでもらったんだから自信を持つべきだ』っていう思考に変わっていって。それまでは稽古中も、正解の真ん中を辿っていこうという気持ちがあったんです。でも、今は決まっていることを壊していきたいという考えでお芝居に挑んでいます。思いっきりやって、苦しんで、挫折して、ぶつかっていこうと思えてる。今の自分は、前よりちょっと成長できてるんじゃないかな、って思います
Interviewer:いちじく舞
Photographer:Kyota Hashimoto
Photographer:Kyota Hashimoto
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この記事を書いた人:≠REPROFILE編集部