
圧倒的な歌唱力を持つ歌手Beverlyがシャイで緊張しやすい少女だった頃
2017.11.10
フィリピンやアメリカなど、さまざまな音楽コンテストで数々の受賞経歴を持つ、フィリピン出身の歌手Beverlyさん。突き抜けるハイトーンボイスを響かす彼女の歌は、聴く者を圧倒させる爆発的なエネルギーを感じさせます。 今回の≠REPROFILEスペシャルインタビュー「OPEN the ×××」前編では、そんなBeverlyさんのプロとして活動する前の、知られざる下積み時代をピックアップ。ご本人の口から、当時の経験や思い出を語っていただきました。
こんな内容
--ボイストレーニングで初めてハイトーンボイスを出せた曲はなんという曲でしょうか?
ビヨンセの「Listen」という曲です。この曲は、14歳のときにボイストレーニングの練習曲としてコーチが提案してくれた曲でした。難しい曲だったので、レッスンで歌うときすごく緊張したのを覚えています。
--何がきっかけでハイトーンボイスを出すことに成功したのでしょうか?
コーチからは特にブレスの位置や深さなど、呼吸に意識を置くようにと教わりました。あとは、喉をなるべくリラックスさせるようにとも。初めてハイトーンを出せたときは、自分でも驚きましたね。
--その後、フィリピンの有名な作曲家でもあるベニー・サトルノ氏のボイストレーニングを受けたBeverlyさん。トレーニングはどのような内容だったのでしょう?
歌う技術だけでなくレコーディングをする上で、リズムの取り方や歌い方など、曲の表情をどのように掴んで行くかを学びました。当時はアメリカにいたので、英語でMCをする方法も教わりましたね。
--英語はもともと話せたのでしょうか?
フィリピンの学校の教科書は全て英語で書かれているので、ある程度話すことはできました。ただ、シャイな性格なのでオーディエンスとのコミュニケーションがうまく取れなかったんです。なので、レッスンでは英語の発音から学び、徐々に自信をつけていきました。
--デビューのきっかけとなったコンテスト「World Championships of Performing Arts」のステージに立つ直前はどんな気持ちでしたか?
泣きそうになるくらい緊張しました。舞台裏にはたくさんの素晴らしいアーティストがステージを控えていて、その中で堂々と歌える自信がありませんでしたね。
--実は、緊張しやすいタイプなのでしょうか?
今ではだいぶコントロールできるようになりましたが、以前まではよく緊張していました。「歌詞を忘れたらどうしよう…」などネガティブな妄想にとらわれると、どんどん緊張が高まってしまうので、今目の前にある次に歌う曲のことだけを考えるようにしています。そうするとパフォーマンスに集中できるようになるんです。
-- Beverlyさんの歌手活動を積極的に応援されているお母さん。そんなお母さんからかけられた言葉で、一番印象に残っている言葉はありますか?
お母さんは昔、歌手になりたいという夢があったんです。フィリピンでは合唱団に入っていた時期もあったそうです。なので、私の活動については応援だけでなくダメ出しをくれることもありますね。例えば「あの歌のハイトーン部分は耳が痛い」とか(笑) あと、よく言われるのは「周りの人に助けてもらっていて今があるのだから、常に『ありがとう』という気持ちは絶やさないで」ということですね。
--9歳から歌を歌い続けてきたBeverlyさんですが、歌手活動を断念しそうになった出来事はありますか?
あります。以前参加したコンテストが大雨で通行止めになってしまい、会場まで歩いて行かなくてはいけなくなったんです。車を降りた道は舗装されていなくて、土砂降りの雨の中、足場の悪い道を永遠と歩きました。やっとの思いで出場したコンテストは結果、惨敗。そのときはさすがに心が挫けそうになりましたね。
--そこから復活できたのはなぜですか?
そのとき「どんな経験も無駄にはならないから」とお母さんが声をかけてくれたんです。お母さんは当時、学校の先生として勤めていて忙しいはずだったのに、いつもコンテストには同行してくれて。“そんなお母さんを裏切りたくない”という気持ちも強かったですね。
--そんなBeverlyさんはご自身で歌詞を書くのなら、どんなメッセージを届けたいですか?
応援ソングを書きたいですね。生きていれば、悩みや問題が生じることはしょうがないと思います。そんなつい閉じ籠り気味になってしまうような状況でも、ふと落ち着いて周りを見渡せば「一人じゃない」ということに気が付くと思うんです。私自身も、お母さんをはじめ、周りの方々にいつも助けられてきました。そんな経験を、歌を通して伝えていけたらと思っていますね。
堂々とパフォーマンスをするBeverlyさんに潜む、シャイで緊張しやすい一面。そんな弱い部分を支えているのは、お母さんの存在だったようです。過酷な状況だからこそ磨かれていった母娘の絆を基盤に、より一層力強い歌を私たちに届けてくれることでしょう。
「OPEN the ×××」後編ではBeverlyさんの私生活など彼女のパーソナリティをご紹介していきたいと思います。
「OPEN the ×××」後編ではBeverlyさんの私生活など彼女のパーソナリティをご紹介していきたいと思います。
Photo:Teruo Horikoshi
Interviewer:いちじく舞
Interviewer:いちじく舞
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この記事を書いた人:≠REPROFILE編集部